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【保存版】英文契約書が必要な国際取引|準拠法・仲裁・責任制限まで実務解説

【保存版】英文契約書が必要な国際取引|準拠法・仲裁・責任制限まで実務解説

■ 結論(まず押さえるポイント)

国際取引では、英文契約書は実務上ほぼ必須です。
特に重要なのは、①準拠法、②紛争解決(裁判管轄・仲裁)、③責任制限の設計です。
翻訳だけでは足りず、適用法体系(コモンロー/大陸法)を踏まえた条項レベルのリスク設計が不可欠です。

■ なぜ英文契約が不可欠か(国内取引との違い)

  • 法制度・商慣習が異なる
  • 裁判制度・執行制度が異なる
  • 為替・政治・制裁等の外部リスクがある

契約書は「形式」ではなく、紛争予防と損失上限の設計図です。

■ 国際取引の主な類型とリスク

① 物品売買(貿易
貿易は、いわゆる物品の売買(輸出入取引)です。外国企業との間で製品や商品を売ったり買ったりする取引をいいます。
貿易取引には特有のルールが適用されるケースがありますので、安全に進めるためには事前に正確な理解を得ておく必要があります。

  • インコタームズ、危険負担、所有権移転時期

② サービスの取引/SaaS
物ではなく各種のサービスを国際的にやり取りする取引です。役務提供や情報提供などが該当します。

  • 成果物定義、検収、データ保護

③ 技術移転/ライセンス/共同開発
国際技術移転とは、ある企業が国内にもっている技術を海外へ移転する国際取引です。たとえば人的能力、機械設備や生産流通の体系などが取引の対象となります。

日本の企業が国際技術移転する場合、主なターゲットは発展途上国です。 具体的には「ライセンス契約」や「共同開発契約」を締結して対応を進めるのが一般的です。

  • 知財帰属、改良発明、サブライセンス

④ インターネット取引(電子商取引):越境EC
インターネットを使った国際取引です。
小規模なものでいうと海外企業からのネット通販やオークションサイトを利用した輸入なども国際取引といえます。

  • 消費者保護、個人情報、決済・チャージバック

■ 実務で最重要の主要条項(条項レベル解説)

1. 準拠法(Governing Law)

  • どの国の法で解釈するか
  • 日本企業にとって日本法が有利な場合が多いが、強行法規や消費者法の適用に注意。

2. 紛争解決(Jurisdiction / Arbitration)

  • 合意管轄(どこの裁判所か)
  • 仲裁(機関・仲裁地・言語)
  • 国際仲裁は執行可能性が高いが、費用・手続設計が重要。

3. 責任制限(Limitation of Liability)

  • 故意・重過失の扱い。
  • 損害賠償の上限(契約額上限など)
  • 間接損害・逸失利益の排除

4. 表明保証(Representations & Warranties)

  • 事実の保証違反は損害賠償トリガー
  • デューデリ範囲と整合させる。

5. 補償(Indemnification)

  • 第三者請求対応の費用負担。
  • 通知・防御権の設計が実務の要。

6. 不可抗力(Force Majeure)

  • パンデミック、制裁、輸出規制の明示。
  • 通知義務・解除権との連動。

7. 解除・期間(Termination)

  • 重大違反、支払遅延、コンプライアンス違反。
  • 解除後の存続条項(秘密保持・責任制限)。

8. 完全合意条項(Entire Agreement)

  • 表明保証との関係整理が必要。
  • 事前合意・口頭説明の排除。

■ コモンローと日本法の差異(誤読リスク)

  • Consideration:対価概念の要件
  • Best efforts / Reasonable efforts:努力義務の強度差
  • Time is of the essence:期限厳格性
  • Without prejudice:和解交渉の証拠排除

日本法の感覚で読むと誤解が生じます。

■ 国際取引特有の横断リスク

  • 為替変動条項(価格調整)
  • 制裁・輸出管理(外為法)
  • 源泉税・移転価格
  • データ越境移転規制

契約条項とコンプライアンスを連動させる必要があります。

なぜ翻訳だけでは不十分か

翻訳は意味の移植であって、リスク評価ではありません
適用法の前提を誤れば、条項の効果を取り違えます。

■ リーガルチェックの実務価値

  • テンプレート依存の排除
  • 取引個性の反映(価格構造・供給体制)
  • 紛争シナリオの事前想定
  • 交渉戦略の設計(譲歩順位付け)

■ 交渉の実務ポイント(簡潔チェックリスト)

  • 準拠法はどこか
  • 紛争解決は仲裁か裁判か
  • 損害上限はいくらか
  • 知財は誰に帰属するか
  • 終了後のデータ・在庫はどうするか

■ よくある質問(FAQ)

Q. 国際取引に英文契約書は必要ですか?
実務上ほぼ必須です。準拠法や紛争解決方法を明確にしないと、重大な法的リスクが生じます。

Q. 日本法にすれば安全ですか?
必ずしも万能ではありません。強行法規や執行可能性を検討しましょう。

Q. 仲裁と裁判はどちらが有利ですか?
執行可能性や中立性の観点から仲裁が選ばれることが多いですが、費用との比較検討も必要です。

Q. テンプレートで足りますか?
取引個性を反映しない契約は、紛争の温床の可能性があります。避けるべきでしょう。

Q. 翻訳版だけでは足りませんか?
不十分です。適用法体系を踏まえた条項設計が必要です。

■ まとめ

英文契約書は、国際取引におけるリスク配分の設計図です。
準拠法・紛争解決・責任制限を中核に、条項レベルでの精査と交渉戦略が不可欠です。
国内契約以上に専門的検討が必要であり、専門家によるレビューを前提に設計すべきでしょう。