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クロスボーダーM&A雑感

クロスボーダーM&A雑感

さるクライアント企業の依頼で、

平成26年の春先にアジアの某国を訪れる機会がありました。企業買収のための法務面でのデューデリジェンスを行うためです。

法務デューデリジェンスというと弁護士の専門分野のイメージがありますが、M&Aに関しては経験の少ない(あるいは、全くない)弁護士の先生もいらっしゃいます。また、そもそも法的な争いが生じていない企業買収という状況では、その作業を行う者は弁護士の先生でなくともよいといえます。

今回の場合は、弁護士の先生が年初に既にやった法務デューデリジェンスについて、たまたま意見を求められ、セカンドオピニオンを提供したところ、買収後にスムーズに会社経営を行うためのアドバイザリー契約及び買収承認決議の取締役会議事録(契約締結の権限授権を証するための和文英文併記のもの)の作成も含めて、再度の法務デューデリジェンスを依頼されたのです。

その先生のおやりになった法務デューデリジェンスも決して悪くはなかったのですが、対象国の法律は日本法と異なるという視点が少し欠如していたようです。

また、その先生が作成されたM&A契約書は、別の機会にご紹介した表明保証の点でも、重要な日本の判例に基づく契約の表現上の手当てができていませんでした。

もっとも、既にその先生が一度法務デューデリジェンスをおやりになっていたので、私のやる場面では簡単な確認ですむものも多く、時間を有効に使うことができました。

今回は、アドバイザリー契約の作成も視野に入れていましたので、与えられた1週間では通常なら時間切れとなる場合も多いと思います。つまり、弁護士の先生のおやりになった仕事も決して無駄ではなかったのです。

企業買収をおやりになった方、あるいはこれの研究されている方には釈迦に説法ですが、企業買収はそこが終点ではなく、スタートです。

スムーズに事業の引継ぎや、次の成長戦略をどのように描くのかまで視野に入れたほうが望ましいのです。

えてして弁護士の方は企業買収が上手くいけばそれで良しと考え、その先のことまで考慮しない傾向があるようです。

今回は、クライアントと十分話し合った結果、事業の引継ぎと次の成長戦略も含めての(簡単なものですが)アドバイスをすることができました。

私の場合、たまたまM&Aを企業勤務時代にいくつか経験したことが功を奏しました。過去のビジネス経験が重要であると改めて思わされた仕事でした。