税金等の引き落とし口座のこと
お話をする機会がありました。
その際に話題となったのが、口座引落し(口座振替)のことでした。 支払の遅れや支払い忘れを防止するために、社会保険や所得税・消費税などを口座からの引落す制度があると助かるとのことでした。
個人事業主の方は、社会保険や所得税・消費税などを口座からの引落設定をされていることも多いのではないでしょうか。
実際、私の知る限りでは、個人事業者は、社会保険を口座からの引落にされている方は多いですし、所得税・消費税については、申告書を提出することで、確定申告後の4月に預金口座から引き落とされる振替納税が広く使われています。
しかし、法人の場合はどうなのでしょうか。
個別に確認していきましょう。
1.社会保険
社会保険とは、一般的に、健康保険、厚生年金保険、介護保険、労働者災害補償保険(労災保険)、雇用保険を総称したものをいいます。
昔は、社会保険料の支払いは、金融機関の窓口納付が基本でした。
現在では、それ以外でも以下のような方法での支払いが可能です。
①会社が取り引きしている金融機関の預金口座から社会保険料を自動的に引落し(振替)して納付することができます。
ネット銀行では、イオン銀行が対応しています。
②日本年金機構から毎月送付される「保険料納入告知書」に記載されている「収納機関番号」「納付番号」「確認番号」「納付区分」の情報を使用して、Pay-easy(ペイジー)を使って、納付することができます。
スタートアップ時に使うことの多いネット銀行では、一部利用できないところもありますが、楽天銀行やPayPay銀行、GMOあおぞらネット銀行、住信SBIネット銀行等、どんどん利用できるところが広がっています。
2.所得税・消費税
個人事業主については、口座引落(振替納税)が一般的です。
しかし、残念ながら、法人には振替納税という選択肢はありません。
そこで、従来の金融機関での窓口納付以外の方法として、①ダイレクト納付の申込みをすることでe-Taxでの口座引落による納付、②インターネットバンキング等による納付、③クレジットカードによる納付、④スマホアプリによる納付、⑤コンビニでの納付、といった方法が利用できます。(https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/01.htm)
とはいえ、実際には、①や②での税金納付をしている企業が多いようです。これらは、e-Tax(国税電子申告・納税システム)の利用を前提としています。
①のダイレクト納付は、e-Taxにより申告書等を提出した後、納税者自身の名義の預貯金口座から、即時又は指定した期日に、口座引落しにより国税を電子納付する手続です。事前に、専用の届出書を、管轄税務署に書面で提出する必要があります。(個人事業主の場合は、電子的に届出可能)
なお、e-Taxによる確定申告手続きを税理士にお願いしている納税者は、税理士に納税手続きもやって頂けます。
②のインターネットバンキング等納付は、e-Taxにより申告書等を提出した後、インターネットバンキングやATM等により、Pay-easy(ペイジー)を使って国税を電子納付する手続です。こちらも、ネット銀行で一部利用できないところもありますが、楽天銀行やPayPay銀行、GMOあおぞらネット銀行、住信SBIネット銀行等、どんどん利用できるところが広がっています。
【ご参考】オンライン提出利用可能金融機関一覧(振替納税)
まとめ
- 法人の社会保険料の支払は、銀行引き落とし(口座振替)が可能。(ネット銀行では、イオン銀行のみ口座振替対応)
- 一方、法人の所得税・消費税の納付では、銀行引き落としではできない。
- しかし、必要な手当てをすれば(e-TaxやPay-easyの利用等)、インターネットバンキングにより、社会保険料の支払も所得税・消費税の納付もできる。
- スタートアップ時に使うことの多いネット銀行でも、インターネットバンキングにより、社会保険料の支払も所得税・消費税の納付もできるところが増えている。
営業等で外出も多く、登記上の本店には殆どいることの無い方は、うっかり社会保険料の支払や税金の納付を忘れたり、遅れたりしてしまうかもしれません。
引き落としはできないものの、インターネットバンキングにより、社会保険料の支払や所得税・消費税の納付を進めるようにしたら如何でしょうか。 テクノロジーを利用することにより、少しだけかける労力は少なくなるかもしれません。
このような話を、上記の社長さんにはさせて頂きました。