
独居高齢者の孤独死のこと
おおよそ次のような相談を受けました。
私の所有するマンションに入居していた独居高齢者が、死亡しました。 部屋には生活用品などの遺品が残っていました。 昭和の時代からの賃貸契約で、保証人も全員亡くなっています。 相続人の許可がないと、勝手に遺品の整理、処分ができないことは分かっていますが、相続人の有無も不明で、連絡先も分かりません。 しかし、新聞の配達もそのままですし、異臭もしているようです。 それでも処分できないのでしょうか? |
人が亡くなられた場合、その被相続人の住所地で相続は開始し(民法第882条、第883条)、相続人は相続時から、相続人の一身に専属したものを除き、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します。(民法第896条)
従い、相続人がいないか、いても音信不通の場合であっても、相続人の許可なく処分するのは違法です。
その場合は、家庭裁判所に相続財産清算人(民法952条以下)や不在者財産管理人(同25条以下)選任の申立を行う必要があります。
そして、選任された相続財産清算人や不在者財産管理人に処分してもらう必要があります。
もっとも、緊急の対応を求められるようなケースについては、事務管理(697条・698条)として違法性が問われない(阻却される)可能性はあります。
そのマンションオーナーにはこられの制度の概要を、まずはご説明し、より詳しく個別な事情をお伺いして、アドバイスをさせていただきました。
しかし、その亡くなられた独居高齢者は、元気なうちに専門家にご相談されていたら、そのマンションオーナーやその他の方にもご迷惑をおかけすることもなかったかも知れません。また、マンションオーナーも、その独居高齢者が亡くなる前に相談いただいていたら、もっと色々な選択肢をご提案させていただいたかもしれません。
いろいろ考えさせられた案件でした。