
【実務解説】韓国・台湾に財産がある場合の相続手続|必要書類・準拠法・日本との違いを解説 ー Inheritance Procedures for Assets in Korea or Taiwan|Required Documents, Applicable Law and Key Differences from Japan ー
韓国・台湾に不動産・預金などの財産がある場合、日本国内だけで相続手続を完了することはできません。
相続の準拠法を確認したうえで、日本・韓国・台湾それぞれの財産について別々に手続対応が必要になる場合があります。
戸籍制度・必要書類・翻訳対応が日本と異なるため、通常の相続よりも実務は複雑になり、専門家への早期相談が重要になります。
※全体的な制度や準拠法の考え方については、
👉【保存版】死亡した在日外国人の相続手続き|準拠法・相続登記・必要書類を実務解説
もあわせてご参照ください。
- 相続の準拠法は「被相続人の本国法」で判断
- 韓国・台湾では戸籍制度が異なり相続人確認が複雑
- 海外財産は日本だけで手続は完結しない
- 不動産・預金は現地手続+翻訳・認証が必要
- 法定相続情報一覧図は海外では原則利用不可
近年、日本で生活する外国籍の方や、海外にルーツを持つ方が増えています。
その中で増えている相談の一つが、
「亡くなった家族の財産が日本だけでなく、韓国や台湾にもある場合、どの国で相続手続きをすればよいのか」
という問題です。
例えば、
- 韓国籍の夫が日本で亡くなった
- 台湾籍の親が日本に居住していた
- 日本人配偶者が海外財産を相続することになった
- 日本に不動産があり、韓国・台湾にも預金がある
といったケースでは、日本国内の相続手続だけでは完結しません。
このようなケースに該当する方は、本コラムの内容が直接関係します。
国際相続では、まず、
「相続について、どの国の法律を適用するのか」
を確認する必要があります。
日本の国際私法では、相続は原則として、
被相続人(亡くなった方)の本国法(通則法第36条)
によって判断します。
そのため、例えば、
- 韓国籍の方が亡くなった場合
→ 韓国法が問題になる可能性 - 台湾籍の方が亡くなった場合
→ 台湾の法制度を確認する必要
があります。
※準拠法や反致の考え方については、
👉【保存版】死亡した在日外国人の相続手続き
で詳しく解説しています。
日本国内だけの相続であれば、
- 戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 印鑑証明書
などにより手続を進めます。
しかし、韓国・台湾など海外財産が関係すると、以下の点が問題になります。
相続人確認の資料が異なる
日本では、
「出生から死亡までの戸籍」
によって相続人を確認します。
一方、韓国・台湾では、日本とは異なる身分登録制度があります。
韓国の場合
韓国では、
- 家族関係登録簿
- 基本証明書
- 家族関係証明書
- 婚姻関係証明書
などを利用して親族関係を確認します。
日本の戸籍制度とは形式が異なるため、日本国内の手続で使用する場合には翻訳が必要になります。
台湾の場合
台湾では、
- 戶籍謄本
- 除戶謄本
などにより、
- 婚姻関係
- 親子関係
- 相続関係
を確認します。
台湾の資料についても、日本で利用する場合には通常、日本語訳を添付します。
👉 このように、日本と韓国・台湾では
「相続人の証明方法そのものが異なる」ため、日本の戸籍だけでは手続が進まないケースが多くあります。
※国際相続全体の流れについては
「【保存版】在日外国人の相続手続き」もご参照ください。
■ 日本国内の相続手続と、韓国・台湾に財産がある場合の主な違い(整理)
日本国内の相続と比較すると、韓国・台湾に財産がある場合は手続構造そのものが異なります。
| 項目 | 日本 | 韓国・台湾 |
|---|---|---|
| 相続人確認 | 戸籍謄本による確認 | 家族関係登録・戸籍資料などによる確認 |
| 準拠法 | 日本法 | 被相続人の本国法が問題となる |
| 手続場所 | 日本国内で完結する場合が多い | 財産所在地ごとに手続が必要 |
| 必要書類 | 日本語資料 | 翻訳・認証が必要になる場合がある |
| 海外財産 | 通常は国内手続のみ | 現地金融機関・登記機関への対応が必要 |
(1)韓国内の不動産
韓国に土地・建物がある場合、日本で作成した遺産分割協議書だけでは処理できない場合があります。
韓国内で、
- 相続登記
- 必要書類の提出
- 翻訳・認証
などが必要になります。
また、韓国では相続登記制度や必要書類が日本とは異なるため、韓国側専門家との連携が必要になるケースがあります。
(2)韓国の預金
韓国の銀行口座については、
- 死亡確認資料
- 相続人確認資料
- 相続人全員の同意書類
などを求められます。
金融機関によって必要書類が異なるため、事前確認が重要です。
台湾の場合も、基本的な考え方は同じです。
(1)台湾の不動産
台湾に不動産がある場合、
- 台湾の戸籍資料
- 相続人関係資料
- 遺産分割に関する書類
を準備し、台湾側で手続きを行います。
(2)台湾の預金
台湾金融機関では、
- 被相続人の死亡資料
- 相続人を証明する資料
- 相続人全員の意思確認の同意書
などが必要になります。
👉 日本で用意した資料は、中国語翻訳が必要になるケースが多いです。
日本で便利な
👉「法定相続情報一覧図」
ですが、
海外財産では注意が必要です。
- 日本 → 利用可能
- 韓国・台湾 → 原則そのまま使えない(現地手続の相続関係証明資料としては利用できない)
👉 詳しくは
「法定相続情報一覧図とは?外国籍相続人がいる場合の注意点」
▶海外財産がある相続で行政書士に相談するメリット
海外財産を含む相続では、単なる書類作成だけではなく、
- 相続人関係の確認
- 海外書類の取得
- 翻訳手配
- 遺産分割協議書作成
- 現地専門家との連携
が必要になります。
ポイント1
被相続人の国籍・身分関係の確認
「日本に住んでいた」という事情だけでは判断できません。
確認事項:
- 国籍
- 婚姻関係
- 出生地
- 過去の居住地
- 遺言の有無
を整理します。
ポイント2
財産所在地ごとに手続を考える
国際相続では、
「一つの相続手続ですべて終わる」
とは限りません。
例えば、
■ 財産所在地ごとの手続整理(実務イメージ)
| 財産 | 主な手続 |
| 日本の不動産 | 日本の相続登記 |
| 日本の預金 | 日本の金融機関手続 |
| 韓国不動産 | 韓国側手続 |
| 台湾預金 | 台湾金融機関手続 |
というように分けて考えます。
ポイント3
早めに必要資料を収集する
海外相続では、資料収集に時間がかかります。
特に、
- 戸籍資料
- 翻訳
- 相続人確認
- 現地手続
には時間を要するため、早期対応が重要です。
Q1. 韓国や台湾に財産がある場合、日本だけで相続手続できますか?
A.
できません。財産所在地に応じて、現地での手続が必要になる場合があります。
Q2. 韓国・台湾の相続でも日本の戸籍は必要ですか?
A.
日本での手続内容によりますが、相続関係を確認する資料として利用される場合があります。
Q3. 韓国や台湾の銀行口座は日本から解約できますか?
A.
金融機関ごとに必要書類が異なるため、現地金融機関への確認が必要です。
Q4. 海外の不動産を相続した場合、どの国の法律になりますか?
A.
相続準拠法の確認に加えて、不動産所在地国の手続ルールを確認する必要があります。
Q5. 外国籍の相続人がいる場合でも日本で遺産分割協議できますか?
A.
可能ですが、本人確認資料や外国書類の準備が必要になる場合があります。
Q6. 韓国や台湾の相続手続は日本の専門家だけで対応できますか?
A.
現地手続が必要になる場合が多く、現地専門家との連携が必要になるケースがあります。
国際相続では、単なる書類作成だけではなく、
- 相続関係資料の収集
- 海外資料の確認
- 翻訳手配
- 遺産分割協議書作成
- 他士業・海外専門家との連携
が重要になります。
特に、
- 外国籍の配偶者がいる
- 被相続人が外国籍
- 海外財産が存在する
場合には、通常の相続とは異なる視点が必要です。
韓国・台湾に財産がある相続は、
適用法の判断・資料収集・海外手続の調整など、専門的対応が必要です。
判断を誤ると、手続が長期化したり、日本と海外で二重に手続が必要になる可能性があります。
当事務所では、
外国人相続・海外財産相続について、
資料収集から書類作成、専門家連携まで一括対応しております。
👉 お困りの際はお気軽にご相談ください。
韓国・台湾に財産がある相続では、
- 被相続人の本国法の確認が必要
- 日本の戸籍だけでは相続人確認ができない場合がある
- 財産所在地ごとに手続が必要になる
- 海外資料の取得・翻訳が重要
という点に注意が必要です。
👉 日本だけで完結する相続ではない点が最大の特徴です。
韓国・台湾に財産がある相続では、日本国内の相続手続だけではなく、海外側の制度・書類・手続への対応が必要になります。
早い段階で財産所在地と相続関係を整理することが、円滑な相続手続につながります。
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※本コラムは一般的な実務整理であり、個別事案により結論が異なる場合があります。最終判断は専門家へご相談ください。

